となりのトトロをみた。トトロをみると、小さいときに妹とトトロごっこをしたことを思い出す。どんぐりに見立てた黄色いレゴを階段でコンコンコンと落としたり、ごはんをかきこんで味噌汁をグイッと飲んだり、薪に見立てたプラレールをブワッとぶちまけたり。あとは、大学生のとき、一緒にチャットモンチーのコピバンをやった望月くん(仮名)とトトロの話をしたら開口一番「トトロって絶対くさいでしょ!」と言われたことをよく覚えている。それまでわたしにとってトトロとはふわふわでやさしい大きないきものという認識しかなくて、トトロがくさいとかくさくないとか思いも寄らなくて、そうか、でも、確かに、あんな間近で「グオ〜〜〜〜!!!!」ってでっかい口開けてでっかい声出されたら口臭もしそう。だってきっとフロスとかミントとか口臭ケアとか、そんなことをしているトトロの姿を思い描けないもの。望月くんはわたしに新しい価値観を教えてくれたひとでした。そして、あんなに一緒にバンドをやったのに、望月くんとは大学卒業をしたあとはめっきり連絡を取らなくなった。なんで連絡取らなくなったんだろう。大学卒業したあと、春先に1回だけ、洗濯物を干しながら、望月くんにメールを送った。そのときわたしは思いついたときに煙草を吸うようにしていて、古い家の庭でぼんやりハイライトを吸いながら「元気?そのうちまた会おうよ」みたいなことを書いて、送った。そうしたら割とすぐ返信がきたけど「予定わからないからまた連絡するね」みたいな内容で、「あ、望月くんの中ではわたしとの関係ってもう終わってるんだな」「きっと会いたくないんだろうな」と思って、それで終わった。もちろんわたしたちは会わなかった。そのあとか、前か、もう忘れたけど、わたしがラインをやめたり携帯番号を変えたりしたせいで彼の連絡先もわからなくなった。という体でいるが、望月くんはずっと同じアカウントでTwitterをやっていて、たぶんわたしにフォローされたりするのは面倒だろうなと思って、おすすめユーザーや知り合いかも?に表示されても、わたしは見えないことにしている。きっとわたしたちはこの先も会うことはないだろうけど、元気でやれよ、と思っている。わたしが望月くんのことを思い出すと大体「あのころ楽しかったな」というきもちになれるので、もし望月くんがわたしのことを思い出す瞬間があるとしたら、同じように「楽しかったな」って思ってくれていたらいいな。今はそれだけ。
トトロのことを書こうと思っていたのに望月くんのことばかり書いてしまったので、トトロのすきなところを書きます。
冒頭の引越し。キャラメル。トラックの荷台に積まれた家具の隙間からカンタを見つめるさつきちゃんとめいちゃんの顔。お庭の腐りかけた柱をぐいぐい押してボロボロの屋根から木屑が降ってくるところ。階段を探すのに家中走り回るさつきちゃんとめいちゃん。めいちゃんがおばあちゃんと一緒に箱から食器を出すところ。どんぐりの落ちる音。お水を汲みにいくところ。さつきちゃんが薪を取りに外へ出て、風で吹き飛ばされるところ。お風呂に入るシーン。お父さんのゴリラ?怪獣?のものまね。朝ごはんとお弁当の支度。そしていちばんは、さつきちゃんが学校へ行ったあとにおうちで過ごすめいちゃんとお父さんのシーン!「めい、おねえさんみたい?」「お父さん、お弁当まだ?!」「お父さんお花屋さんね!」、最高!それから、夜中の発芽ダンス。夢だけど夢じゃなかった!季節が夏になって、野菜を取るところ、きゅうりを食べるところ。とうもろこしを抱えるめいちゃん。カンタの自転車の乗り方。でも、夏になってからはさみしげな空気もちょっとだけある気がして、なんとなく胸がつまってしまう。電報がきてさつきちゃんが電話をかけるところとか。さつきちゃんとめいちゃんがケンカしちゃって、さつきちゃんがめいちゃんを置いて走って行っちゃって、残されたカンタが困った顔をしてめいちゃんに言う「行こうよ」とか。お母さんの退院が延びてしまって、おばあちゃんと一緒に洗濯しながらさつきちゃんが泣き出してしまうところとか、それを見るめいちゃんの表情とか。あああ。くるしい。でもそのきもちを吹き飛ばしてくれるエンドロールのおかげで何度も何度もトトロをみられます。トトロだいすき。
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