さて。札幌の話です。札幌から引越しをすることになったものの、通っていたヨガ屋さんで推しの先生もご退職されるし、もう何にも未練はない!と思っていた。
が、割と早めに「アッ!歯医者さん!!!」ってなった。
札幌に越してくる前は、東京に住んでいて、そのときは富裕層向け(わたしが勝手にそう感じているだけ)のギラギラしたインテリアで揃えられている高田馬場の小綺麗な歯医者さんに通っていた。そこの歯医者さんはめちゃめちゃスパルタで、どれだけ歯磨きをがんばっても褒められることはなく、毎回毎回「今回は磨き残しがこのエリアにこれだけありました」「クリーニング時にこれだけ出血がありました」とチクチク言われ、毎回毎回手鏡を持たされブラッシングの訓練をやる羽目になり、ちょっとつらかった。なんで大人がこんな手鏡持ってブラッシングの訓練をやらねばならんのだと憤慨していた。今となっては、結局がんばったつもりで全然できていなかったと思うんだけど。歯磨きが。向こうも意地悪しようと思ってそんなことしていないはずだし。
そして、東京を離れて札幌にきてからはしばらく無職で、歯医者さんへ行く余裕は気持ち的にも金銭的にもなかった。しんどかった。やっと仕事が決まって、会社から保険証をもらえたらすぐ歯医者さんの予約をした。歯は失ったら終わりなので(わたしの父は歯が2本しかない)、また手鏡ブラッシングの刑が待ち受けていようとも、早急にプロの方に歯の状態を確認していただく必要があった。
ただ近所だからという理由で選んだ駅前の歯医者さん。結果大当たりだった。
めちゃくちゃに褒めてくれるのだ。
先生も歯科衛生士さんもとにかく褒めてくれる。「とってもいいですね」「すごくきれいです」「何も心配ない」などなどなどなど。歯に対してこんな種類の褒め言葉ある?!ってくらい褒めてくれるので、歯医者さんへ行くたび承認欲求が満たされたし、めちゃくちゃに褒めてくれるからこそ「こうしたらより良いお口の状態にできます」というご提案も受け入れられた。もっと褒められたいからがんばる、より良いお口の状態をお見せしたい、という理想的な循環が出来上がった。
そして、今回、引越しもすることだし、保険証を返す前に最後にクリーニングしてもらお、と思って定期検診の予約をした。いつもは土曜日の午後に行くことが多かったのだが、もう会社に行くこともないので、連休前の金曜日の朝イチに予約を入れた。
金曜日は生憎の雨だった。4月も終わるというのに札幌はまだ寒く、わたしはまだヒートテックを着込んでいる。雨の日って足元が冷えるし濡れるし出かけたくないよ。でも歯医者さんは近くだから構わない。それにこれからわたしは褒められるのだ。この世の歯に対する褒め言葉全部をかき集めて褒めてもらえるのだ。そのためなら雨の中10分歩くくらいどうってことはない。
コンバースだと冷たくなるかなと思い、サッカニーを履いて、傘を差して歯医者さんへ向かう。
9時20分。歯医者さん着。わたしの他には小さなお子さま連れの方が1名いるだけで、コロナのこともあって予約を絞ってくれているのかガラガラだった。朝イチなので待たされることもなく即呼ばれた。
口を開くなり「すごくいい!」「とってもいい!」「クリーンですね」「全く問題ないです」「虫歯なし!最高!」とどんどんどんどんお褒めの言葉をいただく。
そうそう!そうそう!これこれ〜!待ってましたイェーーーイ!!!!
歯科衛生士さんと歯医者さんが入れ替わり立ち替わり褒めちぎってくれる40分を過ごし、最後に歯科衛生士さんが「歯ぐきのことなんですが、上の歯は上がり気味、下の歯は下がり気味かもだから、ちょっと歯磨きに力入れすぎてるかもなので、クリニカの音が鳴る歯ブラシ使ってみたら良いかもしれないです」と、かもかもで謙遜しまくられのご提案をいただいた。「買って帰ります」と即答した。
検診後に「診察券がアプリに切り替わったのでアプリのダウンロードをしてほしい」と言われ、「実は引越しをすることになって今日で最後なんです」と丁重にお断りをする。「じゃあ診察券はこちらで回収しますね」とやりとりをし、お会計をしてお礼をして歯医者さんを後にする。
良い歯医者さんだった。何者でもないただのわたしをこんなに褒めてくれる他人は歯医者さんと美容師さんしかいない。またこの街に住むことがあったら絶対この歯医者さんに通いたい。
あと歯科衛生士さんってお化粧がお上手なひと多くないですか?どこの歯医者さんに行ってどなたに当たっても目元とかすごくきれいでアイラインとかマスカラとかバッチリで、無機質な制服とのギャップがすごくて見惚れてしまう。
また新しく住む街でも、こんな最高な歯医者さんを見つけられますように。だってせっかくお金払うなら褒めてもらいたいもん。
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