ありがとうオートボーイミニ

2021/05/15

日記

3ヶ月前に買ったオートボーイミニが動かなくなった。

わたしは札幌から東京に引越しするため、車で移動していた。1日目札幌から函館。2日目は函館から大間を抜けて恐山を経由し十和田湖へ。ここまでカメラは順調でフィルムを2本撮り切っていた。いいぜいいぜ。もうわたしはフィルムカメラなしでは生きていけない体になってしまっていた。現像したときの感動がやみつきになっている。もはやドラッグ。

そうして3日目に十和田湖を出発して中尊寺に寄ったときだった。3本目のフィルムを撮り切って、4本目にロモ400をぶちこんで、目の神様がいるお寺?で3枚か4枚シャッターを切ったあと、突然フィルムが巻き上げられてしまった。ええっ。動揺しながら父に「こんなことってある?」と聞いたら「フィルムの方になんらかの不具合があったのかもね」と。巻き上げは済んでいるのでとりあえず業務用100を入れ直してみた。が、今度は電源が入らなくなってしまった。

ええっ。

ええっ。

母に「電池が切れちゃったのかもね」「電池切れだといいね」と言われるが、もう気が気ではない。3ヶ月前に買ったばかりだし、17000円もしたし、まだフィルム4本か5本くらいしか撮っていない。こんな早く故障されちゃったら悲しすぎる。それにわたしはもうフィルムカメラなしでは生きていけない、iPhoneのカメラでは満足できない体になっている。せっかく中尊寺に来ているのにこの景色をオートボーイミニで撮られないなんて狂っている!

オートボーイが動かなくなったあと、金色堂をお参りしたのだが、正直うわのそらで(※金色堂は撮影禁止)、あーあ、このあと磐梯熱海行って、明日は磐梯熱海から東京へ行くのに、このあとの道のりは1枚もフィルムで撮られないんだ、あーあ、あーあ、なんで予備の電池を用意しておかなったんだろう、写ルンですかファンセーバーを余分に準備しておかなかったんだろう、あーあ、あーあ、あーあ、

そう思いながら金色堂を出て少し歩きましたらフジカラーの小小屋(という表現で合っているのかわからないけどとりあえず小小屋(こごや)と書く)があった。フジカラー?!ってことは?!と思いましたら、「写ルンです」のちいさな旗が立っていた。

写ルンです、売ってた。

やったーーーー!!!!

歓喜しながら写ルンですを購入。1700円もしたけどそんなことはどうでもいい。またフィルムの写真が撮られる。

中尊寺ありがとう。フジカラーありがとう。写ルンです置いてくれてありがとう。

そして中尊寺で買った写ルンですで写真を撮りながら南下し、無事翌日、札幌を出発してから4日目に東京に着いた。

引越しの荷物の搬入もろもろを終えてから、新宿のビックカメラへ行って新しい電池を買った。その場で入れ替えたがやはり動かず。一旦帰宅し、その夜に妹(写真撮る)に「カメラ修理出したことある?どこがいい?」と聞くと「カメラのキタムラがいいんじゃね」と言われ、翌日再度新宿へ。カメラのキタムラへ行き、感じの良さそうな男性スタッフの方に見てもらう。電池の具合だけチェックされてあっさり「電池を変えても動かなければこのタイプはもう直せない」と言われた。つい小さく悲鳴をあげたら、ほんとうに申し訳なさそうに「申し訳ありません」と言ってくれたのでむしろこちらが申し訳なくなり、ありがとうございました、と言って店を出た。

しかしまだ諦められない(だって17000円もしたし)、家の近くにあるフィルムカメラ専門の修理屋さんへ向かった。お店の前に着いたらガチっぽい(いやガチなのですが)おじさまスタッフがいらっしゃり、ドキドキしながらドアを開け「こんにちは〜!」とヘラヘラ挨拶をする。が、挨拶は返してもらえず、早速嫌な予感。無愛想な感じで「どうしました」と言われさらにドキドキする。あー、この感じですか、この感じ嫌なんだよな〜と思いながら、慌ててリュックの中からオートボーイミニを取り出し「カメラのキタムラでも断られちゃったんですけど」と言うか言わないかのところでカメラを一瞥するなり食い気味で即「うちでも無理ですよ」。バッサリ。

バッサリです。

・・・あー!!!そうですか!そういう感じの方でしたかー!!!!

「どこ持ってっても無理ですかね?」と聞いてみたが、目も合わせてくれないままどこへ持っていっても修理できない理由を早口で言われて(素人なのでなにを言っているのか全然わからなかった)、ああ、このひとはもうわたしに早く帰ってほしいんだな、と思って、なんにもわからないけど早く帰ってほしいことだけわかったので、「わかりました、ありがとうございました」と言ってお店を出た。

とても疲れた。

かなり疲れた。

カメラが直らないのはもう仕方ないけど、こういう雑な対応をされると悲しくなる。たった1分2分のやりとりでこんなに疲れちゃうなんて。すごい。

帰ってきてから2軒目に行った修理屋さんを調べたら、MF専門の修理屋さんらしく、AFのカメラを持ち込んだわたしがばかだった。そりゃ早く帰ってほしいですよね。でも、これまでの人生で、カメラだけじゃなくて、バンドとかもそうだけど、玄人の人と関わったときは大抵こういう感じで雑な対応されることが多くて、だからわたしは「ガチ」の人が苦手なんだよな、と思った。

Googleの口コミにボロクソに書いてやろうかと思ったけど、徳を積みたいのでやめた。そもそもそんなことをしても、そんなことをした自分に嫌気がさして負のループから抜け出せない。そもそもそんな冷たい人間のことを思い出して落ち込むだけ無駄。無駄無駄。人生は短く時間は有限。

【覚え書き】
①コンパクトフィルムカメラは突然動かなくなることがある(20年も30年も前のものだから当たり前っちゃ当たり前だよね、と思った)
②基本、修理は無理っぽい。仮に修理できたとしても、別のフィルムカメラが買えるくらいのお金がかかりそう。
③自分が買うときに払ったお金とカメラの寿命は比例しない
④当面はスナップを撮るくらいにしか使わないので、いつ壊れても惜しくない金額で売られている中古カメラしか買わない

オートボーイミニへ。
わたしのところに来てくれてありがとう。うつくしい見た目に一目惚れして買ったけど、きみのおかげでフィルムで撮った写真のことがだいすきになりました。直してあげられなくてごめんね。
わたしより。

おみくじが結ばれている様子のフィルム写真。