ガチガチガチセルフライナーノーツ

2026/07/30

日記

 前置き

ガザ地区にいるアラアという友だちがいる。アラアとは3年近くにわたってやりとりしており、森さんという日本にいる親友とサポートをつづけている。現在、アラアから壊れているかつ虫が湧いているマットレスを新調するための費用600ドルを募っており、森さんもわたしも寄付のことばかり考えすぎてめちゃくちゃになった。わたしが「もう寄付を呼びかけるのもしんどい、どうせ集められない、それならわたしがまた借金して送金する」と言うと、森さんは「もう寄付で借金を増やしてほしくない」「借金は少しずつ返していこう」と言ってくれ、わたしたちは「できることをできる範囲でやる」にハードルを下げた。


その結果、8月7日16時から翌8日16時までに行われるバンドキャンプフライデーまでを締日とし、それまでのMKRDTSBのBandcampでの全音源の全売上をアラアへの寄付に充てることにした。わたしにできることがこれくらいしかない。


ということで、今度はわたしと森さんはMKRDTSBの音源をBandcampで買ってもらうために宣伝に躍起になり、めちゃくちゃになっている。結局わたしたちはめちゃくちゃになる選択をしてしまうね。


MKRDTSBガチガチ勢でもある森さんが、「ガチ勢による夏に聴きたいMKRDTSBの曲5選」という販促行動をインスタグラムとXでしてくださり、わたしはXでそれを引用する形でセルフライナーノーツを少し書いたが、正直140字では書き足りない。制作の裏側なんて無限に書きたい。森さんから「セルフライナーノーツありがとうございました!」と連絡が来て、「もっと書けるのでブログに書こうかと思ってるんです、需要があるのかはわかりませんが…」と返したら、「私には需要あります!」と言ってくれ(さすがガチガチ勢だ)、これを書くに至った。


本編

1曲目は『上下天光』のライブアルバムより、『バイオグラフィー』。数年前に初めてのライブが決まったときに「1曲目にできる曲がない」と思ったのと、パレスチナ連帯のデモに参加したときにIOFによって殺されたパレスチナ人のお名前と年齢がびっしり書かれた長い長い長い長い…長い長い長い長い紙をみて、衝撃を受けたことからできあがった曲だ。殺されたひとりひとりにお名前があり、人生があった。「名前」はひとつのおおきなモチーフになった。序盤の、ひたすらわたしのすきなものを訥々としゃべるパートは構成として最初からあたまの中にあったのを覚えている。これはこういうはじまりでなければならない、と決まっていた感じがする。わたしはすきなものについて話すのがにがてだ。ほんとうにすきなものやひとの話は、あんまりしたくない。でもしゃべろうと思った。『バイオグラフィー』なんて曲を聴いてくれるひとに、わたしのことを少しでも知ってもらいたいと思った。ライブで披露する際には、最初のころは音源に忠実に歌うことを目標にしていたのだが、あるライブの準備をしている期間中に、ストレスがめちゃくちゃ溜まり、リハをしていた最中に一節「普通の人間になりたい、ただそれだけ!」とブチギレたあと、「普通ってなんじゃクソ!」とさらにブチギレ、それを機に歌詞がところどころ変遷するようになった。わたしは日本語話者だから、日本語でしか歌詞を書かない、と決めていたが、パレスチナと出会って、そんなこだわりもどうでもよくなった。サビっぽいところでは、歌メロに適当な英語を合わせた。接続詞とか文法とかはめちゃくちゃだと思う。


2曲目は『ひかり探して』より『ダンス』。なにかあたらしいっぽいことにチャレンジしたい、と思い、「ちゃんと踊れる曲を1曲くらい作ってみよう」と、4つ打ちをぽちぽちぽちぽち打ち込んだ日々を思い出す。あと、MKRDTSBにしてはBPMが速め。ダンスだからね。そこはがんばりましたよ。ただ、歌詞は、終盤の「抵抗のダンス/いっしょに踊ろう/夜通し/抵抗のダンス/いっしょに踊ろう/朝まで」の箇所は真っ先に書けていたけど、今全体を通して読み返すと、もう少しがんばって書きたかったな…と思う。『My Watermelon』『バイオグラフィー』とリリースして、しばらくなにを歌えばいいのかわからない期間が長かった。歌いたいことなんて山ほどあったはずなのに、なにもかもくだらなく、ちっぽけで、どうしようもないことに思えた。それでも音楽をやめたくなかった。作ることをやめたくなかった。『ひかり探して』はもがいてもがいて、もがきながら作った。サウンド面では、以前の作品に比べて開けたように聴こえるが、みんなにはどう聴こえているだろう。


つづいて3曲目は『マッチ工場の少女』より『泥』。『マッチ工場の少女』はだいすきなアキ・カウリスマキ監督の同名の映画から引用した。『泥』をすきだと言ってくれるひとは多くいらして、ありがたいと思っています。リリックビデオも作りましたが再生数はあまり伸びていません。ドゥドゥン。リリックビデオは、当時、今よりも感覚過敏に悩んでおり、対策方法も探っていたころで(とにかく外出ができなかった)、耳鳴りがよくしていた。耳鳴りのイメージと、パニックになって視界が不均衡になるイメージ、ブラックアウトするイメージ、そして目を瞑った瞼の裏で見える景色のイメージで作った。



4曲目は『ムーンライズ・キングダム』より『ヘヴン』。こちらの『ムーンライズ・キングダム』は、やはりだいすきなウェス・アンダーソン監督の同名の映画から引用した。『ヘヴン』もまたすきだと言ってくれるひとが多くいらして、ありがたいと思っています。ほんとうに。ポストでも書いたが、数年前EP全曲、早逝しただいすきなお友だちのことを思い作った。「すきなものの話はあまりしたくない」と書いたが、この友人とはだいすきな是枝裕和監督の映画の話でよく盛り上がった。わたしも彼も『海よりもまだ深く』がだいすきだ。「エンドロールでさ」「ハナレグミがかかる瞬間」「「最高だよね」」と固い握手をし合った夜を忘れられない。『ヘヴン』は彼に対する思いが特にダイレクトに現れた曲かもしれない。歌うと泣きそうになってしまうのでライブではあまりやらない。「永遠なんてないね/永遠なんて」で曲は終わるが、ここにつづく言葉はわたしの場合「永遠なんてないね/永遠なんて/あってほしかった」だ。今年、次の誕生日が来たら、わたしは彼の年齢を追い越してしまう。


最後は、MKRDTSBの夏の曲と言えばこれでしょう、『サマー・ハズ・ゴーン』。曲自体はかなり前からあったのだが、しばらくお蔵入りしていたのち、リアレンジをほどこして、12月にリリースするというひねくれたことをした。『ソラニン』で、芽衣子さんがアイちゃんの職場でこっそり社割でサンダルを買い、それを家で試着するシーンを鮮明に覚えており、「あのシーンの曲を作ろう」と思い歌詞を書いた。『未来の話』や『エレメント』もそうなのだが、わたしは歌詞の視点が入れ替わる場合も多く、『サマー・ハズ・ゴーン』はそれを明確に再現するためにいっしょに歌ってくれるひとを探していたが、歌ってくれるひとを見つけ、交渉し、歌のディレクションをし、ミックスをする、と考えたらかなりうんざりしてしまって、「もういいや、一人でう〜たお」とひとりで全部歌うことになった。わたしにはこういうところがかなりある。ちなみに繰り返し出てくる『月とキャベツ』と『若者のすべて』はわたしにとって"夏の終わり"を迎える際の重要な作品だ。わたしは毎年、夏をおしまいにしはじめるとき、『月とキャベツ』を観て、『若者のすべて』を聴く。


おしまい

おしまい!書いててたのしかった。読んでくれてて少しでもたのしかったらうれしいです。

💐𝙄𝙣𝙛𝙤𝙧𝙢𝙖𝙩𝙞𝙤𝙣💐

MKRDTSBワンマンショー
📅2026.9.20. SUN
📍阿佐ヶ谷mogumogu

🎫エントランス
Adv ¥2000- / Door ¥2500- 
+1Drink

🖋️情報保障
筆談用のノートとペンを準備します。
そのほかの調整が必要な場合、ご予約時にお申し出ください。

⚠️会場へのアクセス
阿佐ヶ谷mogumoguはビルの3階にあり、階段のみのアクセスです。上り下りにお手伝いが必要な場合、ご予約時にお申し出ください。

🪑会場に椅子あります
🚬会場外に灰皿あります

💌チケット予約方法
①インスタグラム・ブルースカイのDM、ライン
②mkrdtsb💫gmail.comへメール(💫→@ )
③ご予約フォーム
https://forms.gle/AXvhJcDVPNe13saH9
※DM・メール等でのご予約の場合、お名前(お名前のみ・苗字のみ・ニックネーム・偽名・なんでも可)・枚数・合理的調整のご希望をご記載ください。


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